神社・仏閣からビルの設計・施工に携わる「松井建設株式会社」のシゴトバ紹介
【本社所在地】東京都中央区
【支店】東京、東北(宮城県仙台市)、北陸(石川県金沢市)、名古屋、大阪、九州(福岡市)計6カ所
【営業所】関東(さいたま市)、東関東(千葉市)、多摩(東京都立川市)、横浜、福島、北信越(新潟市)、富山、京都、中国(広島市)、長崎、熊本 計11カ所
【出張所】北海道(札幌市)、南砺(富山県)計2カ所
【従業員数】701名(2016年3月現在)
【事業内容】土木、建築の設計・管理および請負。製材および木工加工、不動産の売買、賃貸並びに仲介、スポーツ、観光、レジャー施設の経営および管理など
創業は1586年(天正14年:安土桃山時代)と、430年以上の歴史を有していること。上場している建設会社の中で最も古い。前田利長公の命を受け、越中守山城(富山県高岡市)の普請に従事したことから始まり、前田藩お抱えの宮大工として、伏見城普請や瑞泉寺(富山県南砺市)の再建に携わるなど、大正初期までは社寺建築に一貫して携わってきた。関東大震災をきっかけに東京に進出。以後、一般建築へと事業内容を拡大し、現在は神社仏閣のほか、病院や老人ホームなどのビル建築の施工実績も多い。築地本願寺、小田原城天守閣、中尊寺金色堂新覆堂、金沢城菱櫓・五十間長屋など、多くの歴史的建造物の復元・修復事業に従事している。
前編では【松井建設 東京支店 建築部 工事課】のシゴトバを紹介しました。
後編では、同課に所属する穗積寿和さんに入社の決め手やシゴトバの魅力、これから就活を迎える学生さんへのアドバイスなど、お話しいただきます。
<後編>「松井建設株式会社」で活躍する社員にインタビュー
-学生時代の専攻を教えてください
東北工業大学工学部建築学科を2006年3月に卒業し、4月に松井建設に入社しました。父が木造建築の大工をしており、ある時、お寺の鐘楼を建てるという案件を手伝いに行ったことがあったのです。そういった父の仕事を見ているうちに、自分も大工になりたいと思うようになりました。
大学では神社仏閣の建築物を研究したいと思っていたのですが、希望通りにはいかず、建築材料の研究室に入りました。床など仕上げ材のすべり抵抗値に関する研究をしていました。当初の希望とは違いましたが、建築材料の研究も奥が深く、なかなか面白かったです。
-就活中の企業選びで大切にしていたことと、入社の決め手を教えてください
企業選びの際に大切にしていたのは、やりたいことができる会社に就職しようということ。私のやりたいこととは、神社仏閣に携わること。それに携われる建設会社を地元の小さな建設会社から大手ゼネコンまで検討しました。
松井建設を知ったのは、同じ研究室の先輩が「そういうことがやりたいなら、松井建設がいいのでは」と教えてくれたからです。
調べてみると築地本願寺をはじめ、さまざまな歴史的建造物を手がけていることを知り、「この会社がいいな」と感じました。
ですが、そういった情報だけで決めたわけではありません。松井建設をはじめ、地元の建設会社、大手ゼネコンなど、いろいろな会社の工事現場に足を運び、現場事務所がどんな様子か見に行きました。各建設会社の現場によって働く環境がさまざまであることに気がつきました。
神社仏閣を手がけている建設会社の中には関西の会社もあり、そこの現場にも足を運びました。ですが、施工実績を調べてみると、やはり関西以西のものが多く、「ここに入社すると関西より西で働くことになる」と思いました。就職活動当時、私は地元の東北で働きたいと思っていたので、東北の案件を手がけている建設会社を検討することにしました。
大手ゼネコンも検討しましたが、企業規模が大きく、躯体(くたい)なら躯体だけというように業務が分かれているような印象がありました。一方、松井建設では現場でも担当できる業務も多く、現場全体の施工管理を担当するということを意識できる会社だと思いました。実際に面接に訪れてみると、会社の雰囲気も良く、居心地の良さを感じました。これらの点から松井建設に入社を決めたのです。
松井建設への入社の決め手は次の3つです。
1.神社仏閣などの木造建築を手がけていること
2.現場の業務内容と働く環境が良く、設備もきれいで、やりがいと働きやすさを感じたこと
3.会社の雰囲気が良く、東北にも拠点を持っていたこと
一番重視したのは、神社仏閣を手がけていたことです。神社仏閣に携われるところというのが最大の条件でしたから。また3の東北に拠点を持っていたことは、今から思うとなぜ、そこにこだわったのか(笑)。今はもう関東に家を構えたので、東北支店に移りたいという気持ちは持っていません。
-入社してから感じる松井建設の魅力は?
私は入社5年目ぐらいから現場の主任(作業工程の管理や現場の安全の確保、発注者との交渉などを行う)を任せてもらいました。本人のやる気や努力次第で現場の長にもなれるんです。そこは大きな魅力になっています。
次に会社の雰囲気が思った以上にアットホームなことです。上司や部下とのつながりが比較的濃いというか。通常は毎回、現場ごとに所長やメンバーは変わるのですが、私の場合、入社後初めて配置された現場から約2年半、同じ所長でした。それもあり、今もその所長には仲良くしていただいています。各現場で過ごす時間は約1年。その間に1つの建物を造り上げていくという工程を通して、上司や部下、後輩とのつながりが濃くなっていくのだと思います。会社の規模も700人程度とそれほど多いわけでもありません。部署を超えて協力し合える関係もできているので、居心地はいいですね。
さらに、国の指定重要文化財に携われる機会があるかもしれないことも、松井建設の忘れてはならない魅力です。歴史あるお寺の木造建築の工事に携わった時、工事が終わり、新しくなったお寺を見たお客さまから「やっぱり松井さんだよね。任せて良かった」という言葉を頂いたことがあります。自分がやりたかった神社仏閣の案件で、そういう言葉を頂き、とても大きな感動を味わうことができました。
-東京支店 建築部 工事課で必要とされるスキル・知識はありますか?
工事課で活躍するには、指定学科の卒業者であることが大前提となります。施工管理の業務を務めるには、国家資格(建築施工管理技士)が必要だからです。その試験を受験するには、大学で建築学や土木工学など、指定学科の出身者であることが条件となります。
それ以外に求められるものとしては、好奇心や向上心があること。建築工事の現場では年々、新しい工法や材料が登場しています。また構造の種類もS造(鉄骨造)やRC造(鉄筋コンクリート造)、それらを組み合わせたSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート構造)などさまざまです。覚えることや勉強しなければならないことは山ほどあるのです。あとは元気と前向きさ。現場を盛り上げていく役割も担うので、元気さや前向きさは欠かせません。
-入社を目指す学生さんへアドバイス
就職は人生の中でも非常に大きなイベントです。自分が一生食べていく仕事を選ぶわけですから、妥協は禁物です。私も妥協せずに会社選びをしたことで、「神社仏閣に携わりたい」というやりたいことができる会社に就職することができ、充実した毎日を過ごしています。転職という手もありますが、新卒での就職はこれからの人生を左右する大きな決断。真摯な思いを持って、自分が一生食べていく仕事を妥協することなく、真剣・慎重に選んでほしいと思います。
旅行会や独身寮など働きやすさを向上するイベント・施設
穗積さんが所属している建築部では、部費を積み立てて、2年に1回のペースで旅行会を開催しています。写真は旅行会で、北海道に行った時のひとコマ。建築部は所属している人数が多いので、2班に分かれて行き先を決めているそうで、この年は北海道と熊本に分かれて開催されたそうです。
東京支店に配属された社員は、自宅からの通勤が困難な場合、希望すれば独身寮に入寮することができます。独身寮は千葉県松戸市に2棟、神奈川県川崎市宮前区に1棟の2カ所にあり、いずれも家賃は1万円~1万5000円ほど。写真は松戸市の独身寮。駐車場も貸し出してくれるそうです。男性だけではなく、女性も入寮できます。
取材・文/中村仁美 撮影/臼田尚史