【本社所在地】東京都品川区
【国内事業所】北海道、東北(仙台市)、北関東(さいたま市)、東京、千葉、横浜、名古屋、大阪、中国(広島市)、四国(高松市)、九州(福岡市)、沖縄、以上支店計12カ所、道東(帯広市)、盛岡、秋田、郡山、新潟、高崎、水戸、静岡、富山、京滋(大津市)、岡山、東九州(大分市)、南九州(鹿児島市)、以上営業所計13カ所
【工場】茨城、群馬
【従業員数】685名(2017年3月末日現在)
【事業内容】「移動式クレーン」と呼ばれる、ラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーンなどの荷役機械、油圧ショベル、基礎工事用アースドリルなどの建設機械、産業機械の製造、販売
1895年の創業以来、常にオリジナルな発想、独自の視点で技術開発にチャレンジし、建設機械のイメージを大きく変えるマシンをいち早く提供することで業界をけん引してきた。1923年に開発した機関車に始まり、現在ではトラッククレーン、油圧ショベル、ラフテレーンクレーン(1つの運転室で走行とクレーン操作が可能で、不整地走破性と小回り性に優れたクレーン)、オールテレーンクレーン(走行時とクレーン操作時とそれぞれ独立した運転室を持ち、高速走行性と不整地走破性を兼ね備えたクレーン)などがその代表製品。中でもラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーンなど、いわゆる自走できるクレーンの総称である移動式クレーンは国内トップシェア(販売台数)を誇る。歴史に培われた技術力により、「KATO」はグローバルブランドとして世界の人たちの信頼を得ている。
前編では【加藤製作所 横浜支店 プロダクトサポート部】のシゴトバを紹介しました。
後編では大場利浩さんに入社の決め手やシゴトバの魅力、これから就活を迎える学生さんへのアドバイスなど、お話しいただきます。
<後編>「加藤製作所」で活躍する社員にインタビュー
-学生時代の専攻を教えてください
湘南工科大学工学部機械工学科では、主に機械の仕組み全般について学ぶとともに、卒業論文では漏れのない油圧配管の設計などの研究を行っていました。機械工学を専門に選んだのは、機械をいじるのが好きだったからです。
-就活中の企業選びで大切にしていたことを教えてください
私は、中途入社で加藤製作所に入社しました。
まずは新卒の就活のころのお話をすると、大学を卒業したのは2004年で、就職氷河期の真っただ中でした。あまり選べる状況にはないとは思っていましたが、オートバイや自動車が乗るのも触るのも好きだったので、自動車関連の企業に絞って就活を行いました。
自動車関連企業といっても、完成車メーカー、部品メーカー、ディーラーなどさまざまな企業があります。その中で私がこだわったのは、実際に機械に触れることでした。
新卒で入社したのは、大手完成車メーカー系列の子会社。その企業に就職を決めたのは、燃料電池関連の部品の開発など、最新分野の開発を手掛けていたことに加え、大手メーカー系列であるため安定していること、給与が良かったこと、福利厚生が充実していたことです。
しかし実際に配属されたのは、自動車部品を作る機械の制御プログラムを設計、開発する部署でした。仕事の9割はパソコンに向かってのプログラミング作業。もちろん、たまに制御プログラムを組み込む製造装置に触れることはありますが、私の好きな車関連の機械ではありません。「本当にやりたかったことを仕事にしたい」と思い、入社6年目の2010年に転職活動を始めました。
新卒時の就活では、給与や福利厚生を重視しすぎてしまったことを反省し、転職活動時の企業選びで最も大切にしたのは、自分の好きな「自動車関連で機械を直接触れる仕事に就ける」ことでした。
またもう一つ、こだわったのが、直接お客さまとコミュニケーションできることです。前職でも製造装置の現場担当者と話をすることがあり、お客さまに近いところで仕事をしたいと思ったのです。そこで「フィールドサービス」「自動車関連」という2つのキーワードで企業を探しました。フィールドサービスとは、点検・修理・メンテナンスなど、担当者が現場に赴いて作業を行うことです。
-入社の決め手を教えてください
自動車関連企業でフィールドサービスに携わるところはたくさんあります。その中で加藤製作所に決めた理由は次の3つ。
1. メーカーの社員として、お客さま対応ができる
2. いろいろな機械に携われる
3. 土日が休み
自動車関連企業では、フィールドサービス業を子会社に任せているところも少なくありません。そんな中、加藤製作所はメーカーの機能としてプロダクトサポート部を用意し、全国のお客さま対応を行っています。メーカーの社員としてお客さま対応ができるというところは、大きな決め手となりました。
2つ目に挙げたいろいろな機械に携われるというのは、前編でもお話しした通り、当社は少数精鋭で業務に当たるため、プロダクトサポート部のメンバーはすべての機械を担当することとなります。機械ごとに担当者を決めている企業も多いので、覚えるのは大変ですが、車や機械が好きな私にとっては、非常に魅力的に感じました。
福利厚生はあまり重視しませんでしたが、唯一気になったのが休日について。フィールドサービスなどのお客さまをサポートする部署や企業は、土日も営業していることが比較的多いのですが、当社は土日休みが基本。これも大きな決め手の1つでしたね。
-入社してから感じる加藤製作所の魅力は?
入社前は大企業なので、部署が異なると社員同士のつながりはないのかなと思っていましたが、そうではありませんでした。新卒入社でも中途入社でも、プロダクトサポート部に配属される前には、茨城県と群馬県にある工場で研修が行われます。私も入社して6カ月間は、技術講習ということで、両工場にて完成品検査の現場を手伝いました。完成品検査を経験することで、どういうところをどんなふうに見るか、メンテナンスや整備の際の重要ポイントを身につけるためです。
研修の間に知り合った工場の人たちとは、今でもプライベートで深いつながりがあり、休みの日にはツーリングに誘われたりしています。人と人とのつながりが深く感じられるところ、風通しの良さが当社の魅力だと思います。
そして何より製造している機械に迫力があること。最も大きなクレーン車だと、ブーム(重量物を持ち上げるための腕)が50メートルまで伸びるモノもあります。大型の機械好きにはたまらないと思います。
-プロダクトサポート部で必要とされるスキル・知識はありますか?
機械工学の出身者が多いですね。電気や油圧工学、空圧などの知識があることが望まれます。最近、建機の世界でもコンピュータ化が進んでいるので、機械の知識は必要ですが、コンピュータに関する知識のある人も活躍できるかもしれません。
もちろん、そういった専門知識は必要ですが、それよりも重要なのは臨機応変に対応できる力です。トラブルの現場の状況はさまざまです。お客さまからヒアリングして現状や問題点を的確に把握し、1秒でも早く解決しなければなりません。お客さまのご意見を真摯(しんし)に受け止め、冷静かつ適切に対応する力が求められます。
-入社を目指す学生さんへアドバイス
新卒時の就活では、給与や福利厚生などの待遇面に目が向いてしまい、自分がやりたかったことではない仕事に就いてしまいました。もちろん、待遇は大事ですが、それよりも本当に自分が好きなことは何か、やりたいことは何か、その会社には一生涯、携わっていける仕事があるのかという点にこだわって就活をすることをお勧めします。新卒時に一生涯、好きなことができる会社に出会うことができれば、それは本当に幸せなこと。ぜひ、出会ってほしいと思います。
本社には同社120年超の歴史を伝える製品を展示
本社には創業からの歴史を伝える機関車をはじめ、今は製造されていない歴代の製品を展示しているスペースがあり、社員やお客さまに公開しているそうです。
加藤製作所では新機種を発売するタイミングに合わせて、新機種展示会を開催しています。写真は2016年10月22日に東京・品川区の大井埠頭(ふとう)で開催された展示会でのひとコマ。この時は2017年度の内定者も招待されました。内定者たちからは「入社前に同社製品に直接、触れる機会が得られてうれしい」という声が上がるなど好評だったそうです。
新機種展示会にはプロダクトサポート部のメンバーも赴き、お客さまに製品の説明をするなど、忙しい1日を過ごすそうです。
取材・文/中村仁美 撮影/臼田尚史