【本社所在地】東京都千代田区
【支社・支店】支社/東日本(東京)、関西中部(大阪)、西日本(福岡) 支店/札幌、東北(仙台)、名古屋、中四国(広島)
【事業場】東京マーケティングセンター(東京)、アプリケーションセンター・製品開発研究所・生産技術センター・基盤研究センター・土浦工場(いずれも茨城県稲敷郡)、日光工場(栃木県日光市)
【従業員数】679名(2017年1月1日現在)
【事業内容】調味料、甘味料、品質改良剤、酵母関連素材、製菓・製パン資材、調理・製菓用酒類などの研究開発と製造、販売、輸出入
加工食品、ハム・ソーセージ、漬物、パン、中外食メニューなど、世の中に流通しているさまざまな食品を、おいしく、なおかつ効率的に作るために欠かせない調味料や食品素材の開発と製造・販売を手がけるMCフードスペシャリティーズ。「いの一番」などの家庭向け商品もあるが、売り上げのほとんどが加工食品メーカーやテイクアウトの総菜チェーン、飲食店などの業務用。各分野で専門性の高い知識と技術を持つ研究員が開発に当たっている。
今後は「おいしさ」「安心・安全」に加え、「機能性」「健康」といったテーマにも力を入れていく。外食はもとより、中食業界の拡大を受けて堅調な国内業績を維持しつつ、グローバルな展開で市場拡大を目指している。
前編では、【研究開発統括本部 製品開発研究所 醸調・酒類グループ】のシゴトバを紹介しました。
後編では佐々木絵美さんに、入社の決め手や仕事場の魅力、これから就活を迎える学生さんへのアドバイスなどをうかがいます。
<後編>「MCフードスペシャリティーズ」で活躍する社員にインタビュー
-学生時代の専攻を教えてください
祖父母が農業を営んでいたこともあり、子どものころから食べることが大好きでした。スーパーやコンビニに並んでいる食品を見るのも好きだったので、早い段階から大学は農学部にしようと決めていました。
そして新潟大学農学部応用生物化学科に進学。同大大学院では自然科学研究科栄養制御学研究室に所属していました。取り組んだのは、簡単に言えば鶏肉を餌でおいしくする研究。アミノ酸などを餌に混ぜると、鶏肉に含まれるうま味成分がどのように変化するかということです。
-就活中の企業選びで大切にしていたことと、入社の決め手を教えてください
決め手になったのは次の2点です。
1. 幅広い食品にかかわれる
2. 会社の将来性
食品というと素材そのものを研究する道もありますが、もともとうま味や味に関することを研究していたこともあり、味の決め手になる調味料の開発を仕事にしたいと思いました。調味料なら、さまざまな食品にかかわれて面白そうだというのが1つ目の理由です。
2つ目は、実は私が入社したのは今の社名ではなく、キリンフードテックの時。すでに協和発酵フーズと合併することが決まっていたので、先方が持っている製品を扱えるようになり、その分野の知識も得られます。さらに、将来的に会社がもっと大きくなりそうだという期待もありました。
-入社してから感じる、MCフードスペシャリティーズ 研究開発統括本部 製品開発研究所 醸調・酒類グループの魅力は?
入社して真っ先に携わったのが、酵母エキスの開発です。もちろん先輩がいて、いろいろ教わりながら研究開発を行っていましたが、一応私が開発の担当者。本当に入社してすぐだったので、「こんな若手にも製品開発をさせてくれるんだ」と驚いたのを覚えています。
ただ、どのグループも人数が少なかったので、担当する製品が違ってもお互いのやっていることはわかっていますし、時にはグループでディスカッションしながら進めます。担当は1人といっても、孤独に作業するわけではありません。
また、研究部門からの新製品の提案なども、積極的に受け入れてくれる風土があります。具体的には年に1回、研究開発にかかわる全社員が参加して、新しいテーマやアイデアを持ち寄る「テーマ提案発表会」があります。ここで大賞を取ると、その研究を業務として進めることができます。
微生物相手の研究では、観察のため帰宅時間が遅くなったり、休日返上で出勤したりしなくてはならないこともありますが、そこはフレックスタイム制の勤務なので安心です。それに、研究開発が終わったら有給休暇を利用して旅行してきますとか、メリハリのある働き方ができるのも魅力ですね。そのせいか研究所のスタッフ60名中、女性が25名。産休・育休もとりやすく、女性も長く働き続けられる職場です。
-研究開発統括本部 製品開発研究所 醸調・酒類グループで必要とされるスキル・知識はありますか?
私が醸調・酒類グループに異動したのは6年ほど前、メルシャンの加工用酒類事業が統合してすぐのことです。それ以前は酵母エキス・アミノ酸グループにいたので、アルコールのことはよくわからず、しばらくは仕事としてセミナーや学会に行って知見を深めました。そもそも私は学生時代には微生物を扱ったことがありませんから、それを考えると技術的なことや知識は、会社に入ってからでも身につけられると思います。
ただ、私が一昨年からエタノール製剤「エークイックFORTE」を手がけたときのように、新しい製品を開発する際は、最初にターゲットや使い方など、出来上がった製品のイメージを描いて取り組む必要があります。その意味では、研究者にも企画的な発想は必要だと思います。
また、最近は会社の海外展開を受けて、語学力が必要なシーンも増えています。醸調・酒類グループは国内向けですが、シンガポールや中国がメイン市場の製品担当になったら、当然英語や中国語が必要になります。ただ、語学習得などの自己啓発については、会社の費用補助制度があるので安心しています。
-入社を目指す学生さんへアドバイス
技術的なことは入社してからでも身につけられますが、だからこそ、学生のうちは幅広い知識と、専門分野以外への興味を持っておくことが大切です。
研究志望の場合、研究に没頭しすぎるあまり、面接でもつい自分の知識や研究テーマのことを熱く語ってしまいがちですが、本当は面接では“その人”を見ているということを忘れないでください。私自身もそれに気づかず、反省したことがあります。
また、研究所にも、ある程度の期間が過ぎると別のグループに移るジョブローテーションがあります。それまで知らなかった分野への異動になったとしても、幅広い知識や興味を持っていれば、新しい環境に溶け込みやすいと思います。
土浦工場恒例・春のお花見会
4月中旬、土浦工場の敷地内で、新入社員の歓迎会も兼ねて行われるお花見会。工場の社員や研究所職員、協力会社の社員も集まって盛大に行われます。自社製品を使った出店の料理も人気です。
取材・文/小野千賀子 撮影/臼田尚史